ひなぎく心理ルームでは臨床心理学の立場から、いろいろな心の「悩み」や「葛藤」、「違和感」などに対してお話を充分にお聴きし、共に見つめ、整理しながらカウンセリングを進めていきます。
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きずな
今日は日曜日、ひなぎくでの事務仕事もあったのですが、室内で作業する気にならず近隣への外出をしました。

道の反対側、若い男性が2人、しゃがみ込む老夫婦を前にあわてた様子です。
一人は携帯で何やらあわてて話をしているようです。
救急車を呼んでいるな、と思いました。

私は自転車をおり、信号をわたり近づき声をかけます。
「どうした?救急車呼んでくれた」
「はい、今」 「ありがとう」

ご老人の前には血が滴った後が広がります。
両ひざをつき中腰で、左手には杖をもち、前かがみになったまま血がぽたぽた落ちています。
若者が出してくれた1〜2枚のティシュはすぐに赤くなり間に合いません。
こんなこともあろうかと思い入れているわけではありませんが、いつも一つは未開封(と言っても厳密には隙間はありますが)
のポケットティシュがちょうどあったのでそれを丸ごとあてがって救急車を待ちます。
左顔面のぽっぺと特に目の上をひどく切っておられるようでした。
前かがみの状態なので頭が下がっていて、止血の妨げかと思い「頭もう少しあげられますか?」と声をかけますが、ほんの少し動かされるだけで放心状態な感じです。
とても体格のいい方でしたので変に動かれてバランスを崩されても、私も支える自信がありませんでしたので「そのままでいいですよ」と伝えます。
「気分悪くありませんか」というという問いかけには「大丈夫です」とか細くですがくり返し答えて下さいます。
おそらくこけた後、立ち上がろうとしたけど血が滴り落ちる状況を目の当たりにして、どうしていいかわからなくなり茫然自失となられたのだと思います。

通報をしてくれた青年たちも、こけられたところは見ていないと、ご婦人の方も左の額を打たれて切っておられます。
幸いご婦人のほうはすでに出血は止まっているようです。
ご主人の止血のお手伝いをしながら、ご婦人に聞きます。
「どうされましたか?」
「ここを曲がろうと思ったら…」と。
曲がれなかったのか・・・と内心思う私です。 
「足腰が悪いもんで…」と。ふるえるような声で言われます。

ご婦人も手には杖を持っておられます。
ご夫婦とも白髪で品のいい感じです。
お年は相当召しておられるようでようです。
90才近いのではないかと思うほどです。
仲良くお二人でお散歩されていたのだろうなと想像します。

ほどなく救急車が到着します。
20代とみられる隊員がだらだらと3人出てきます。

救急車はすぐ前に止められるのに離れて置き、会社の出口をふさいでいます。
下ろされた寝台も立てなくなっている老夫婦なのに離れて置くので私は思わず「もう少し近くに持ってこられたらどうですか」と。すると「押さえますので」とわけのわからない屁理屈が返ってきます。
明らかに寝台を抑えるのではなくて負傷者に手を貸してのせてあげないといけないのに…。
それに寝台にはロックがあるでしょうよと内心思う私。
そして、出口をふさがれた会社の方に「救急車のけてもらえませんか」と言われるしまつ。
「すぐにのけますので」とえらそうに返答しています。

3人も隊員が居るのに一人は救急車に戻ってしまうし(病院の手配をされていたのでしょうが)、まずは救急車にご婦人にのってもらおうということになって、後ろから隊員の一人が抱えようとし、私が、右手でご主人の止血を続けながらご婦人を前から左手で支えるという塩梅になっています。
なので私の上着の左手には(ご婦人も出血されていたので)、血が沢山つくこととなりました。
上着が黒だったので良かったですし、致し方ない事ですが。(その後の対処はちゃんとしましたのでご心配なくです(笑))

ご婦人が立ち上がろうとされるとき、ご主人の肩をギュッと握りしめられます。
立つための支えにするというよりは、ギュッと握りしめられるという感じなのです。
しかし、後ろから隊員の方が立ち上がらそうとされているので、ご主人の方にもおのずと体重がかかることになります。
私はご婦人に声をかけます。
「ここ離してください」 
それでもしがみつくように握っておられます。
私は思います。頼っておられるんだなぁと…。
それでも現実には、ひじを曲げたまま肩を握っていたのでは立ち上がれません。
優しくご婦人の手にトントンとタッチしながら、
「ここ離してください、離して…」

幸いご主人の出血も止まったようでした。
お二人とも半ば放心状態でうなだれておられるご様子でした。

現実問題はさておき、
うなだれて血を流すご主人と握りしめるご婦人のその手にこころが動かされました。

私もしばし放心状態となり、なぜ自分が外出したのかわからなくなりました。
もちろん、すぐに思いだし向かいましたが。(笑)


これからも寄り添いながらさらなる時を重ねられるのだろうなと思いました。


私にとって象徴的な側面のある出来事でした。




 
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